おおい町暦会館
江戸時代の版暦では、先ず最初にその年の方位神達が記載されています。それらは歳徳神と八将神(太歳神・大将軍・大陰神・歳刑神・歳破神・歳殺神・黄幡神・豹尾神)、金神、土公神等です。恵方(明き方)を決める歳徳神と悪神である金神はその年の十干で決まります。八将軍はその年の十二支によって決まります。土公神は季節により在泊方位が決まります。
その年の、十干・十二支で方位神の在位は決まります。
十干・十二支年
以下、歳徳神・八将神・金神の在泊方位です
此方を恵方と云う、門出移徒、その外、万事に用て大によし
歳徳神は、その年の福徳をつかさどる吉神で、略して昔は年徳・歳神、または正月さま・としとくさまなどと呼ばれて、広く民衆に崇められていた。歳徳神の在位する方位を選んで、家屋の建築・普請・造作・結婚・移転・旅行・商取引などを行えば、すべて吉とされる。現代こよみ読み解き辞典
此方にむかいて万よし、但し木をきらず
木星の精、別称『だいざい』。四季の万物の生成をつかさどる吉神とされている。木星は木の精であるところから、此の方向に向かって樹木を刈ったり草刈りをすることは忌み禁じられ、逆に植付けなど物を殖することは大吉だという。家屋建築、普請、造作、移転、商取引、結婚、社員・従業員の雇用など吉とされる。現代こよみ読み解き辞典
三年ふさがり
金星(太白星)の精、別称『だいせう』。閻魔大王、方伯神ともいわれている。軍人の神様だから、気性が強く、万物を殺伐するという大凶神である。三年同じ方位にとどまって動かないので、一般では「三年ふさがり」と称されて万事に忌まれた。殺伐の気が強烈で、この方位に向かって土を動かすこと(井戸掘り、かま塗り)、普請、移転、嫁取り、造作、旅行などをすると、病難、怪我などの災難をこうむるとされている。現代こよみ読み解き辞典
此方にむかいて、産をせず
土星(鎮星)の精、別称『だいおん』。太歳神の皇妃といわれ、太歳神の方角を三年あとに付き従って変化する。学問・芸術に関する事はよいが、この凶神はその年の陰事をつかさどるといわれ、この方位へ向かっての縁談・出産など、すべて女性に関したことを忌むとされる。現代こよみ読み解き辞典
むかいて、種まかず
水星の精、別称『さいけう』。歳刑神は殺罪をつかさどる凶神である。したがって、この凶神がいる方位に向かって種まき・伐木・土を動かすことなどは凶とされる。ただし、この方位に向かって、破壊的事業を営むことは吉ともされる。現代こよみ読み解き辞典
むかいて移徒せず、舟乗りはじめず
土星の精、別称『さいば』。歳破神は大耗ともいわれる。常に太歳神の反対側に位置し、太歳神に衝破されるところから歳破神という名が付いた。この方位に向かっての普請・造作・土を起こすこと・移転・結婚・旅行・畜類を求めることなどは忌むべきこととされている。これを犯すと、その家の主人に盗難などの祟りがあると伝えられている。現代こよみ読み解き辞典
此方より、嫁とらず
金星(太白)の精、別称『さいせつ』。歳殺神は万物を滅する凶神である。大将軍の親戚となる。したがって、この凶神の位置する方位に向かっての結婚・出産・建築・旅行・金談は忌むべきこととされている。特に、この方位に向かっての嫁取りを忌むとされた。これを犯せば「子孫六畜を傷つく」というこわい凶神である。現代こよみ読み解き辞典
むかいて、弓はじめよし
羅睺星(想像上のもの)の精、別称『わうばん』。月日の光をおおって食を起こすといわれ、土をつかさどる凶神である。摩利支天王ともいう。したがって、この方位に向かっての建築・移転・門造り・井戸掘りは凶である。しかし、武芸始め(弓始め)にはこの方角に向かって射れば吉とされている。また暦本には金銭の授受を凶とするものもある。現代こよみ読み解き辞典
むかいて大小便せず、畜類求めず
計都星(想像上のもの)の精、別称『へうび』。豹尾神は黄幡神と反対の方角に位置する。忿怒の相を備え、不浄を嫌うとされている。それゆえに凶神の位置する方位に向かっての大小便をしたり、または牛馬の家畜類を求めることは凶とされている。現代こよみ読み解き辞典
此方を犯しあなどれば災難に逢うこと唯、谷に響きの応ずる如し、・・・
金神は戦争・大水等をつかさどり、物心すべて冷酷無惨となる。この方角に対して、土木を起こし・旅行・移転・嫁取りなど厳しく忌むとされている。『金神七殺』『金神奈落』『金神避』などの言葉があり、江戸庶民には大変恐れられていた。現代こよみ読み解き辞典
土を犯し殺生を忌む・・・中国から伝わり、土をつかさどる神である。この神は年ではなく、「春はかまど、夏は門、秋は井戸、冬は庭」というように季節により在位を変え、期間中にこれを犯すと、土公神の怒りをかい祟りがあるという。土公神はかまどの神ともされている。