祈祷文・都状

文亀元年閏六月二十日橘某都状

以下翻刻です。…名田庄村誌から抜粋

謹上泰山府君都状
南浮州日本国橘 年五十七 謹啓 右 謹啓泰山府君冥道諸神等言、夫
泰山者、為天帝之孫、獄霊之長、在東岱而、施威験者也、
然則、択吉曜、従今夜一七ケ日之間、致精誠、備十二座之清供、設礼奠、所祈者、己丑之歳、太一定分重厄、殊者近日所労之間、彼退病気、速得大滅、武運長久千秋万歳、心中所願成就休、吉給、謹啓
  文亀元年閏六月廿日
橘謹啓

 都状とは陰陽道の祭典に用いる祭文です。
 上の祭文は橘某氏の厄除け祈願文です。
 太一定分重厄とは、三歳から六歳刻みの厄年。3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63歳、…等。
 厄年は古くからありますが、時代によって変わってきました。

時代文献年齢
奈良時代仏説灌頂菩薩経7,13,33,37,42,49,52,61,73,85,97,105
平安時代末期色葉字類抄13,25,37,49,61,73,85,97
鎌倉時代拾芥抄 13,25,37,49,61,73,99
江戸時代和漢三才図会大忌で9歳から9年毎。
男25,42,61。女19,33,37。
男は42,女は33をもって大厄
現在男25,42,61。女19,33,37

 都状は陰陽道の祭文ですので、個人の延命長寿、厄除、官位昇進等以外にも、公の天曹地府祭、金神祭、方凶謝祭等にも用いられています。